でも実は、この有名な実験には「続き」があって、結論がひっくり返りかけているんです。
5歳児パパとして「自制心って本当に大事なの?」を論文で調べてみました。
マシュマロ実験って何だった? ― 元の研究を振り返る
まずは、元のマシュマロ実験をおさらいしましょう。
「Delay of Gratification in Children」Science
結果はとてもインパクトのあるものでした。
この実験から「4歳の自制心が人生を決める」という話が広まりました。
でも…本当にそんな単純な話なのでしょうか?
2018年、実験が「やり直された」
マシュマロ実験が発表されてから約30年後、大きな「待った」がかかりました。
「Revisiting the Marshmallow Test: A Conceptual Replication」Psychological Science
結果、びっくりするようなことがわかりました。
(1972年)
90人ほど
→ 自制心と将来の成功に
強い関係あり
(2018年)
900人以上
→ 家庭環境を考慮すると
関係はほぼ消えた
マシュマロを我慢できたかどうかと将来の成績の関係は、家庭の経済状況や教育環境を考慮に入れると、ほとんど消えてしまった。
つまり、「自制心がすべてを決める」のではなく、「育つ環境」の影響がずっと大きかった。
「我慢できない」のは性格じゃなくて環境?
2018年の研究は、もうひとつ大事なことを教えてくれます。
おやつが毎日ちゃんと出てくる家庭の子と、出てこない日もある家庭の子。「待てば本当にもらえる」と信じられるかどうかは、生まれ持った性格だけでは決まりません。
「約束が守られる経験」をたくさんしている子ほど、「じゃあ待とう」と思える。これは自制心というより「信頼の力」です。
これを裏付ける面白い実験もあります。
「Rational Snacking: Young Children’s Decision-Making on the Marshmallow Task」Cognition
子どもの「我慢する力」を育てるいちばんの方法は、親が約束を守ること。
「あとでね」と言ったら、ちゃんと「あとで」やる。この積み重ねが「待てば大丈夫」という信頼を作ります。
じゃあ自制心は「意味がない」の? → そうではない
ここまで読むと「なんだ、自制心って別に大事じゃないんだ」と思うかもしれません。でも、そうではありません。
① 2018年の研究でも「ゼロ」にはなっていない
影響が「小さくなった」のであって、まったく無関係になったわけではない。自制心はやはり学力や社会性に一定の影響がある。
② 自制心は「スキル」として伸ばせる
ミシェル自身が後の研究で、自制心は生まれつきの才能ではなく「注意を切り替えるテクニック」であり、教えられると述べている。
③ 環境 × 自制心の「かけ算」で考える
大事なのは「自制心か環境か」の二択ではなく、両方。安心できる環境の中で自制心を育てるのがベスト。
5歳から育てる「待てる力」 ― 3つのアプローチ
マシュマロ実験の教訓を踏まえて、5歳の子どもに家庭でできることを3つにまとめます。
まとめ ― エンジニアパパの結論
マシュマロ実験は「自制心が人生を決める」という話で有名になりましたが、2018年の再検証で「環境の影響のほうがずっと大きい」ことがわかりました。
自制心そのものは大切。でもそれ以上に、「待てば大丈夫」と信じられる環境を作ることが先。
「我慢しなさい!」と叱るより、「待ったらいいことあるよ」を行動で示す。それがいちばんの近道です。
それがマシュマロ実験の、いちばん大事な教訓です。
📚 参考文献(タップで開く)
- Mischel, W., Shoda, Y., & Rodriguez, M. L. (1989). Delay of gratification in children. Science, 244(4907), 933-938.
- Watts, T. W., Duncan, G. J., & Quan, H. (2018). Revisiting the marshmallow test: A conceptual replication investigating links between early delay of gratification and later outcomes. Psychological Science, 29(7), 1159-1177.
- Kidd, C., Palmeri, H., & Aslin, R. N. (2013). Rational snacking: Young children’s decision-making on the marshmallow task is moderated by beliefs about environmental reliability. Cognition, 126(1), 109-114.
- Mischel, W. (2014). The Marshmallow Test: Mastering Self-Control. Little, Brown and Company.

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