でもよく見ると、大きいクッキー1枚 vs 小さいクッキー3枚で「3枚のほうが多い」と言い張る。
「数」ってちゃんとわかってるの?と気になり、論文を読みあさってみました。
赤ちゃんは「数」がわかっている?
「うちの子、まだ数を数えられないんだけど…」と心配する親御さんは多いと思います。でも実は、赤ちゃんは生後すぐから「なんとなく数がわかる」感覚を持っていることが研究で明らかになっています。
これは「数量感覚(number sense)」と呼ばれるもの。「1、2、3…」と数えられるかどうかとは別の、もっと根っこにある「多い・少ない」を感じ取る力のことです。
「Perception of Numbers by Human Infants」Science
ポイントは、赤ちゃんは「1、2、3」と数えているわけではないということ。パッと見て「あ、さっきと数が違う」と感じ取っている。これが数量感覚です。
「数量感覚」= パッと見て「多い・少ない」がわかる、生まれつきの力。
これは人間だけでなく、サルや魚にもある原始的な能力。この「ベース」の上に、後から「数える力」が育っていきます。
脳の中に「数の地図」がある — ドゥアンヌの発見
この数量感覚の正体を突き止めたのが、フランスの脳科学者スタニスラス・ドゥアンヌです。
「The Number Sense: How the Mind Creates Mathematics」
脳の中に「数直線」のような地図があると考えてください。小さい数は左、大きい数は右にぼんやり並んでいて、パッと量を見たときにこの地図の上で「だいたいこの辺り」と当てはめている。
ただし、この地図は目盛りが均等ではなく、大きい数ほどぎゅっと詰まっている。だから「1と2の違い」はすぐわかるけど、「7と8の違い」はわかりにくい。
面白いのは、この「脳の数の地図」が大人と子どもで違うこと。
4以上はぼんやり
「だいたいの感覚」で
数を捉えている
正確に数えられる
「数える力」が上乗せされ
精度が格段にアップ
つまり、幼児期は「だいたいの数の感覚」から「正確に数える力」へと切り替わっていく大切な時期の真っ最中。
我が子の「数の理解」はどこまで進んでいるのか
では、5歳児の「数の理解」はどこまで来ているのか。
同時に「足す」「引く」の概念も目覚め始める時期です。
5歳の息子が「大きいクッキー1枚 vs 小さいクッキー3枚」で迷っているのは、まさにこの過渡期にいるから。感覚的には「だいたい同じくらい」に見えるけど、きちんと数えると「3の方が多い」という論理的な理解と、感覚がまだ完全には一致していない状態です。
家庭でできる「数の感覚」の伸ばし方3つ
では、家庭で数の感覚を伸ばすには、どんなことをしたらいいのか。研究から見えてきたポイントは以下の3つです。
「数える」より「比べる」を増やす
「1、2、3…」と数えさせるより、「どっちの方が多い?」と比べさせることの方が、脳の数の地図を発達させます。
おやつを分けるときに、「こっちが多い、あっちが少ない」と比較させる遊びが最高の教材。
「指で数える」を徹底させる
指で1個ずつ指しながら数える。このシンプルな動作が、視覚と触覚を統合し、脳の数の地図をより詳細に描きます。
大人が「正解だけ」を言うのではなく、子どもに指させ数えさせるプロセスが大切です。
ゲーム感覚で、楽しくやる
「教えよう」という気合は禁物。数当てゲーム、ブロック積み、トランプ…どんなゲームでもいいから、親子で遊びながら数に触れる。
感覚的に「数って面白い!」と感じることが、後の数学につながる最大の土台です。
焦らず、遊び感覚で、「数って楽しい」という体験をたくさん積ませることが、脳の数の地図をしっかり整えます。
論文の知見を親の視点で実践すれば、4~5歳は本当に楽しい数学の入口になるはずです。
- Starkey, P., & Cooper, R. G. (1980). Perception of Numbers by Human Infants. Science, 210(4473), 1033-1034.
- Dehaene, S. (2011). The Number Sense: How the Mind Creates Mathematics (Revised edition). Oxford University Press.
- Butterworth, B. (1999). The Mathematical Brain. Macmillan.
本記事は、幼児教育の研究論文をもとに、5歳児の親が「我が子の数の理解」を理解するために書きました。
日々の育児で感じる「なぜ?」が、科学の視点で少しでもスッキリすれば幸いです。

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