数・思考力・知育玩具

数の感覚は生まれつき?家庭で数量感覚を育てる5つの遊び

5歳の息子が最近、おやつを分けるときに「こっちが多い!」と怒るようになりました。
でもよく見ると、大きいクッキー1枚 vs 小さいクッキー3枚で「3枚のほうが多い」と言い張る。
「数」ってちゃんとわかってるの?と気になり、論文を読みあさってみました。
📖 この記事でわかること
  • 赤ちゃんが生まれつき持っている「数の感覚」とは?
  • 「数がわかる」と「数えられる」は別物という話
  • 5歳の「数の理解」はどこまで進んでいるのか
  • 家庭でできる「数の感覚」の伸ばし方3つ
カラフルな数字ブロック
Photo by Eric Tompkins on Unsplash
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本記事は複数の研究論文を要約・解説したものであり、医療的助言ではありません。気になる症状は必ず専門家にご相談ください。

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赤ちゃんは「数」がわかっている?

「うちの子、まだ数を数えられないんだけど…」と心配する親御さんは多いと思います。でも実は、赤ちゃんは生後すぐから「なんとなく数がわかる」感覚を持っていることが研究で明らかになっています。

これは「数量感覚(number sense)」と呼ばれるもの。「1、2、3…」と数えられるかどうかとは別の、もっと根っこにある「多い・少ない」を感じ取る力のことです。

📄 CITED PAPER
Starkey & Cooper (1980)
「Perception of Numbers by Human Infants」Science
生後5ヶ月の赤ちゃんに「丸が2個」の絵を何度も見せて飽きさせた後、「丸が3個」の絵を見せると、赤ちゃんが急にじっと見つめた。つまり「2」と「3」の違いに気づいている。

ポイントは、赤ちゃんは「1、2、3」と数えているわけではないということ。パッと見て「あ、さっきと数が違う」と感じ取っている。これが数量感覚です。

KEY INSIGHT
「数量感覚」= パッと見て「多い・少ない」がわかる、生まれつきの力。
これは人間だけでなく、サルや魚にもある原始的な能力。この「ベース」の上に、後から「数える力」が育っていきます。

脳の中に「数の地図」がある ― ドゥアンヌの発見

この数量感覚の正体を突き止めたのが、フランスの脳科学者スタニスラス・ドゥアンヌです。

📄 CITED PAPER
Dehaene (2011)
「The Number Sense: How the Mind Creates Mathematics」
脳の「頭頂間溝」という場所に、数を感じ取る専用エリアがあることを発見。このエリアは赤ちゃんのころからすでに機能していて、数の大小を直感的に処理している。
ANALOGY — 数の地図のイメージ
脳の中に「数直線」のような地図があると考えてください。小さい数は左、大きい数は右にぼんやり並んでいて、パッと量を見たときにこの地図の上で「だいたいこのあたり」と当てはめている。
ただし、この地図は目盛りが均等ではなく、大きい数ほどぎゅっと詰まっている。だから「1と2の違い」はすぐわかるけど、「7と8の違い」はわかりにくい。

面白いのは、この「脳の数の地図」が大人と子どもで違うこと。

👶
幼児の数の地図
1〜3はハッキリわかる
4以上はぼんやり
「だいたいの感覚」
数をとらえている
🧑
大人の数の地図
1〜10以上もクリア
正確に数えられる
「数える力」が上乗せされ
精度が格段にアップ

つまり、幼児期は「だいたいの数の感覚」から「正確に数える力」へと切り替わっていく大事な時期。この転換をうまくサポートできるかが、その後の算数の得意・不得意に関わってきます。

アルファベットと数字の積み木
Photo by Susan Holt Simpson on Unsplash

「数えられる」=「わかってる」ではない ― ゲルマンの5つの原理

お子さんが「1、2、3、4、5!」と元気よく数えていると、「おお、数がわかってる!」と思いますよね。でも実は、口で数えられることと、数を本当に理解していることは別なんです。

📄 CITED PAPER
Gelman & Gallistel (1978)
「The Child’s Understanding of Number」
子どもが「数を本当にわかっている」と言えるには、5つの原理を理解している必要がある ― という有名な理論。幼児の数える行動を詳しく観察して導き出された。

その5つの原理を、5歳児の日常でイメージしてみましょう。

① 1対1の対応
ひとつのモノにひとつの数を当てはめる。「いち、にー、さん」と指さしながら数えられること。飛ばしたり同じモノを2回数えたりしない。
② 順番が決まっている
「1、2、3、4…」といつも同じ順番で言えること。「1、3、2、5」みたいにバラバラにならない。
③ 最後の数が「全部の数」
5個のミカンを「1、2、3、4、5」と数えた後、「ぜんぶでいくつ?」と聞いて「5個!」と答えられる。これが意外と難しくて、もう一度最初から数え直す子も多い。
④ 何でも数えられる
ミカンでもおもちゃでも音でも、「数える」というルールはどんなものにも使えるとわかっていること。
⑤ どこから数えても同じ
右から数えても左から数えても、答えは同じになるとわかっていること。これは5歳でもまだ難しい子がけっこういます。
KEY INSIGHT
5歳は①〜③がだいたいできるようになり、④⑤がまだ成長途中というのが一般的。
「数を唱えられる」だけで満足せず、「最後の数が全体の数」とわかっているかを確認するのがポイントです。

数量感覚が良い子は、算数も得意になる?

ここが親として一番気になるところですよね。「数の感覚」って、将来の算数の成績に関係あるの?

結論から言うと、関係あります

📄 CITED PAPER
Halberda et al. (2008)
「Individual differences in non-verbal number acuity correlate with maths achievement」Nature
14歳の子どもたちに「画面に青い丸と黄色い丸が出るので、どちらが多いか瞬時に答えて」というテストを実施。この「パッと見で数の大小がわかる力」のスコアが高い子ほど、幼稒園〜中学の算数・数学の成績も良かった。
🟢
数量感覚が
シャープな子
パッと見で数の大小がわかる
算数の成績も良い傾向
「数のイメージ」がしっかりしている
🟡
数量感覚が
まだぼんやりな子
「どっちが多い?」に時間がかかる
計算にも苦手意識が出やすい
でもトレーニングで伸ばせる!
CRITICAL FINDING
大事なのは、数量感覚は生まれつき固定ではなく、経験で伸ばせるということ。
つまり、家庭での日常的な「数に触れる経験」が、将来の算数力の土台になります。

家庭でできる「数の感覚」の伸ばし方

じゃあ具体的に何をすればいいの? ドリルをやらせるべき? いいえ、5歳にはもっと自然なやり方があります。

📄 CITED PAPER
Levine et al. (2010)
「What Counts in the Development of Young Children’s Number Knowledge?」Developmental Psychology
親が日常の中でどれだけ「数に関する言葉」を使っているかを調査。すると、親が数の話をよくする家庭の子どもほど、数の理解が早く進んだ。しかも大事なのは「ドリルをやらせる」ことではなく、日常会話の中で自然に数に触れること。

この研究をもとに、5歳の子どもと家庭でできるアプローチを3つにまとめました。

1
日常の中で「数のことば」をたくさん使う
「ミカン何個ある?」「階段あと3段だよ」「お皿を4枚出して」 ― こんなふうに、ふだんの会話に数を混ぜるだけでOK。研究では、ドリルより日常会話の中の「数ことば」のほうが効果的でした。お買い物や料理は数に触れるチャンスだらけです。
2
「どっちが多い?」ゲームで数量感覚をみがく
おやつを分けるとき、ブロックで遊ぶとき、「こっちとこっち、どっちが多い?」と聞いてみましょう。「パッと見て量を比べる」練習は、数量感覚を直接きたえるトレーニングです。正解・不正解より「考えること」が大事なので、間違っても「惜しい!数えてみよう」と楽しくやるのがコツ。
3
すうじ絵本・ボードゲームで「数える楽しさ」を知る
数をテーマにした絵本やすごろくなどのボードゲームは、「数える→結果が変わる→楽しい!」の体験をくれます。「数はおもしろい」という気持ちが、いちばんの土台。おすすめの絵本や教材は別の記事でまとめる予定です。
CONCLUSION

まとめ ― ラボパパの結論

赤ちゃんは生まれつき「なんとなく数がわかる」力を持っています。でも「正確に数える力」は、経験がないと育ちません。

5歳は「だいたいの感覚」から「正確に数える力」へと成長する真っ最中。ドリルより、日常の中の「数ことば」が効くと研究は言っています。

「ミカン何個ある?」「こっちとこっち、どっちが多い?」 ― そんな何気ない会話が、算数力の土台になります。

子どもが「数って楽しい!」と感じられる毎日 ―
それが研究が教えてくれた、いちばんの「算数の準備」です。
📚 参考文献(タップで開く)
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この記事を書いた人ラボパパ
理系出身のエンジニア/5歳・4歳の二児の父

「なんとなく良さそう」ではなく「研究で分かっていること」をベースに育児をしたい一人の親です。論文や公的ガイドラインの原典に当たり、分かったこと・分からないことを正直に整理しています。

※ 本記事は研究の紹介・解説であり、医療・発達の診断や個別の助言ではありません。お子さんの発達・心身にご不安がある場合は、小児科・自治体の発達相談窓口など専門機関にご相談ください。

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