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子どものお絵描きの発達段階|Lowenfeld 6段階×Kellogg 20の基本スクリブル

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DRAWING DEVELOPMENT
「うちの子の絵、年齢的に普通?」
お絵描きの発達は認知・運動・情緒・社会性が一体となって表現される鏡。米Pennsylvania州立大の Viktor Lowenfeld(1947)が築いた6段階モデルと、Rhoda Kellogg(1969)の普遍的形態研究を統合すると、年齢ごとに何を描き、なぜそう描くかが見えてきます。
“上手・下手” の評価軸ではなく、子の世界の見え方そのものを理解する手がかりに。
この記事でわかること
  • Lowenfeld 6段階モデル:1〜18歳の絵の発達
  • Kellogg 20の基本スクリブル:文化を超えた普遍性
  • “頭足人”(tadpole figure)が出る理由
  • 創造性を育てる声かけと、家庭での画材の選び方

Lowenfeld 6段階モデル ── 絵が育つ地図

美術教育の父 Viktor Lowenfeld は、Creative and Mental Growth(1947)で子どもの絵の発達を6段階に整理しました。

年齢 段階 特徴
1〜4歳 なぐり描き期(scribbling) 線を引く運動の楽しみ、後半で意味付けが始まる
4〜7歳 前図式期 “頭足人” 出現、知っている物を象徴的に描く
7〜9歳 図式期 “基底線”(地面)が出現、人物はパターン化
9〜11歳 写実暁芽期 細部・遠近・性別・服装の描き分け
11〜13歳 擬似写実期 遠近法・陰影への関心、自意識で描かなくなる子も
13歳〜 決定期 視覚型/触覚型などスタイル分化

Kellogg 研究 ── “20の基本スクリブル” の普遍性

米国の児童美術研究者 Rhoda Kellogg は、世界30カ国 100万枚以上の子どもの絵を収集・分析しました(Analyzing Children’s Art, 1969)。文化を超えて同じ20種類のなぐり描きパターン(基本スクリブル)が出現することを発見。

🌍 Kellogg の知見
20の基本スクリブル(垂直線、水平線、円、十字、ジグザグ等)は文化普遍
・スクリブルが組み合わさり “曼荼羅”(マンダラ:円の中の十字)に進化
・曼荼羅から“頭足人”(円から手足が出た人物)へ
・絵の発達は認知の発達と並行している

“頭足人”(tadpole figure)── 4歳前後の象徴

多くの子が4歳前後に描く大きな円の頭から直接手足が伸びた人物画を “頭足人” と呼びます。これは“観察した通り” ではなく “知っているパーツ” を描いている状態。

📌 頭足人が示すこと
・”見たまま” を描くより“知っているもの” を象徴的に描く段階
・人物 = 顔+手足、と認識のコアが形成された証拠
5歳以降に胴体が分離して描かれるようになる
・直そうと指摘するのは逆効果(自然な発達フェーズ)

絵が示すもの ── 認知・情緒の窓

絵は子どもの内面を覗く窓でもあります。臨床心理ではDAP(Draw-A-Person Test)HTP(House-Tree-Person)として診断補助に使われますが、家庭でも以下の観点で見ると豊か。

🎨 絵から読み取れる手がかり
紙の使い方:大胆=活発、隅に小さく=不安傾向
色の選択:暗い色のみ=気分の変化のサインの可能性
登場人物の配置:家族絵で誰を中心に描くか
繰り返し描くテーマ:強い関心や処理中の出来事

ただし単発の絵で診断は不可。継続的な変化と他の行動と合わせて見る。

創造性を育てる声かけ 5原則

① “上手” より “プロセス” を褒める
“上手だね” は固定マインドセットを強化(記事⑩)。代わりに “赤と青を使ったんだね” “ぐるぐるが面白い”具体的な観察を返す。Dweck系プロセス褒めの典型応用。
② “何を描いたの?” と聞かない
特に幼児では “運動の楽しみ” としてのスクリブルに意味を強要するのは負担。代わりに “これお話してくれる?” と問うと、子のペースで言葉が出てきます。
③ 描き方を訂正しない
“空は青” “葉っぱは緑” などの “正しい色” を教えるのは創造性に逆効果。“あなたの空はピンクなんだね” と受容。Lowenfeld 自身が “美術教育で最も大事なのは子の表現の自由” と説いた核心。
④ “見本” や “塗り絵” だけにしない
塗り絵は微細運動には良いが、創造性は白紙に描いてこそ伸びる。塗り絵:自由画 = 1:1 程度に。クレヨン・絵具・ペン・色鉛筆など、複数素材へのアクセスを確保。
⑤ 飾る・残す
描いた絵を冷蔵庫に貼る・額装する・写真でアルバム化する。“残す価値がある” という親のメッセージが子の自己肯定感と継続意欲を育てます。記事⑩のプロセス褒めと組み合わせると効果倍増。

家庭で揃えたい画材の年齢別目安

年齢 推奨画材 注意点
1〜2歳 太いクレヨン・水で消えるペン 口に入れても安全な素材
2〜3歳 クレヨン、フィンガーペイント 服が汚れる前提で防水エプロン
3〜4歳 パス、太マーカー、はさみ はさみは大人と一緒に
4〜5歳 水彩、色鉛筆、のり、紙コラージュ 複数素材を組み合わせて使う
5〜6歳 細マーカー、油性パス、立体工作 “作品” としての保存も

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まとめ ── 絵は “上手・下手” ではなく “発達の鏡”

CONCLUSION
頭足人も、なぐり描きも、子の世界の全貌

Lowenfeld 6段階モデルが示す通り、絵は認知・運動・情緒・社会性が一体となった発達の鏡。Kellogg の20の基本スクリブルは文化を超えて普遍的で、人類共通の表現プロセスです。

5原則 ── ① プロセスを褒める ② “何を描いた?” を強要しない ③ 訂正しない ④ 自由画の時間を確保 ⑤ 飾る・残す。

大人の “正しさ” の枠を外して、子の表現を受け取る親の眼差しが、創造性の最大の養分です。

参考文献

・Lowenfeld, V. (1947). Creative and mental growth. Macmillan.

・Kellogg, R. (1969). Analyzing children’s art. Mayfield Publishing.

・Cox, M. (2005). The pictorial world of the child. Cambridge University Press.

・Golomb, C. (2004). The child’s creation of a pictorial world. Lawrence Erlbaum Associates.

・Malchiodi, C. A. (1998). Understanding children’s drawings. Guilford Press.

・Piaget, J., & Inhelder, B. (1956). The child’s conception of space. Routledge.

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この記事を書いた人ラボパパ
理系出身のエンジニア/5歳・4歳の二児の父

「なんとなく良さそう」ではなく「研究で分かっていること」をベースに育児をしたい一人の親です。論文や公的ガイドラインの原典に当たり、分かったこと・分からないことを正直に整理しています。

※ 本記事は研究の紹介・解説であり、医療・発達の診断や個別の助言ではありません。お子さんの発達・心身にご不安がある場合は、小児科・自治体の発達相談窓口など専門機関にご相談ください。

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